■第54回上映会 「雲の南のドキュメンタリー事情」
山形国際ドキュメンタリー映画祭2007 アフターイベント
「中国・雲之南記録映像論壇の監督、雲の南のドキュメンタリー事情を語る!」
ベトナムやミャンマーと国境を接し、ラオスやタイへ流れるメコン川の上流に位置する中国・雲南省。文化圏としては北京よりむしろ東南アジアに近く、国境をまたいだ山岳地帯には多くの少数民族が暮らしています。風光明媚な山や湖、棚田などの観光資源にも恵まれているこの地の独自の文化と生態学的な多様性は、昔から多くの映像制作者をひきつけ、数々の映像作品が作られてきました。近年社会が劇的に変化し、雲南の少数民族の伝統文化も急速に失われつつあるなか、少数民族出身の研究者や映像作家たちが自らカメラを持ち、自分たちの伝統文化を映像に記録する動きが始まっています。山形国際ドキュメンタリー映画祭2005では「雲南映像フォーラム」として特集が組まれ、新旧多数の映像が紹介されました。
今回は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2007と東京で開催されるフォーラム「ドキュメンタリーから見る中国の<現在>」に参加する雲南の映像作家をお招きし、短編2作品を上映します。その後、雲南や中国のドキュメンタリー事情について語っていただく予定です
●日時:10月11日(木) 19:00 ~
●場所:さかた街なかキャンパス まちなか未来研究室
(※駐車場はありません。市役所駐車場等をご利用ください)
【上映作品】
シリーズ「カワガルボ伝奇」より
『雪山短歌』 Songs from Kawakarpo ・ 『野花谷』 Wild Flower Valley
監督:郭浄(グオ・ジン)
〈中国/2005/チベット語(日本語字幕なし)/カラー/ビデオ/37分・22分〉
【作品紹介】
『雪山短歌』 Songs from Kawakarpo
郭浄監督が愛してやまない雲南のチベット族自治区の暮らしの中に生きている歌と歌声を記録した作品。麦の収穫のときに女性たちが楽しそうに歌う歌、チーズを作りながらかける数の数え歌、巡礼の道すがら自然に出る歌声。話ことばが少なく、字幕なしでも十分見て楽しめるドキュメンタリーです。
『野花谷』 Wild Flower Valley
郭浄監督がチベット族にとっての聖山カワガルボ(中国語では梅里雪山)を周回する巡礼の道程に撮影した作品。草木と花々の豊富な美しさ、チベット族の老婆たちが道すがら語るユーモラスな話、穴に落ちたカエルを救うエピソードなど、ほのぼのしたムードの素敵な短篇です。
【ゲスト】
◇郭浄(グオ・ジン)さん:1955年、雲南省昆明生まれ。雲南省社会科学院・白瑪山地文化研究センター教授。初代から雲之南記録映像展の代表。雲南省博物館元館長。ビデオを使った社会教育活動を山地コミュニティで展開し、多くの国際協力プロジェクトを主宰。著書多数。民族学映画としては『黒陶人家』(2002)、『氷川』(2002)など。自主制作で『カワガルボ伝奇』(2005)などを作る。
◇楊昆(ヤン・クン)さん:1967年生まれ。2003年から3回、雲之南記録映像展のメインスタッフ。1999年~2003年、雲南大学人類学部大学院とEAIVA(東アジア映像人類学研究所)で映像人類学のフィールドワークと映像製作に従事。『First Touch With Ing』(2000・和淵と共同監督・撮影)、『Slow』(2002・撮影)、『翡翠駅』(2003・撮影)などに参加。
◇易思成(イ・スチャン)さん:1976年生まれ。2005年から2回、雲之南記録映像展のメインスタッフ。雲南大学中国文学・中国語専攻後、EAIVA(東アジア映像人類学研究所)に在籍、映像製作に携わる。2001年からドイツ・キール大学博士課程。短篇映画『The Beautiful Flavour of Guiyang Barbecue』(2001)をリチャード・ヒューズ(マンチェスター大学)と共同監督。
◇馮艶(フォン・イェン)さん〈通訳〉:生粋の天津人。天津の大学で日本文学を勉強後、1988年より13年間日本に滞在。1994年からドキュメンタリー製作を開始。初の長編作品『長江の夢』はYIDFF’97アジア千波万波、第22回香港国際映画祭、1998年第1回台湾国際ドキュメンタリー映画祭(優秀記録賞)などで上映された。『稟愛』は2007年第4回中国ドキュメンタリー映画際で優秀記録賞を受賞。山形国際ドキュメンタリー映画祭2007で小川紳介賞とコミュニティ・シネマ賞を受賞。
◇藤岡朝子さん:山形国際ドキュメンタリー映画祭東京事務局 コーディネーター
●料金:一般 1000円 / 学生(大学生以下)・シニア(60歳以上) 500円
※会員無料
●主催:庄内ドキュメンタリー映画友の会
特定非営利活動法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
●協力:まちなか未来研究室 / 鶴岡協同の家こぴあ / 酒田親子劇場 /
平田映画サークルあるふぁ’85
●問合せ:酒田親子劇場 0234-23-3249
ブログ http://shonai.air-nifty.com/dokitomo/
メール ccp@mbi.nifty.com
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コメント
とてもうれしいコメント、ありがとうございました。
短い時間でしたが、世界の片隅でがんばっているドキュメンタリー作家の口から直接、映画を創るとは何か、自分たちにとってなぜ映画祭が必要なのかを熱く語っていただけてよかったです。そして、それをきちんと受け止めてくださった観客の皆さまに心から感謝いたします。
本当はまだまだ語りたいこと、聞きたいことがあったと思いますが、時間の都合もあり、あそこまでになりました。たしかに、これだけ豪華なゲストをお招きして上映会をすることはもうないかもしれませんが、彼らと共有した時間を記憶にとどめていただけたら幸いです。
どんな映画をいいと思うかは、人それぞれに異なると思いますが、映画は(あるいはどんな表現も)結局作り手を映し出す鏡であり、作り手の姿が見えない、感じられない作品には心を惹かれません。
今回の上映会で通訳をしてくれたフェン・イェン監督の『稟愛』(「アジア千波万波」小川紳介賞・コミュニティシネマ賞受賞)は、作者と被写体の気持ちが伝わってくる素晴らしい作品でした。近いうちに、庄内で上映できればいいのですが…。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: dokitomo | 2007年10月13日 (土) 02:23
ご苦労様でした。
ここ何年かこの会に参加させていただいて一番楽しかったし、勉強になりました。今、中国でドキュメント映画が活性している3つの理由、政情、機材、海賊版という話もそうですが、中国映画をWorldWideにしようとしている人がここにいるのだなという感慨が持てました。
2,3時間トークセッションでもよかったかもと思います。
こんな機会ももうないのかと思うと寂しい気がしますが、
ドキュメント映画の世界を鑑みるいい機会になったと思います。
これからも上映会運営がんばってください。
投稿: | 2007年10月13日 (土) 00:50